アンモニアの生成熱を例にして

反応熱とヘスの法則

高温・高圧で H2 と N2 から NH3 を生成する反応を考える。アンモニアを生成する熱力学方程式は次のように書ける。この反応式は、1 atm、298.15 K における 2 mol のアンモニアを生成する方程式でもある。

\[ 3_\mathrm{H}2(\mathrm{g})+\mathrm{N}_2(\mathrm{g})=2{\mathrm{NH}}_3(\mathrm{g})+92.38\mathrm{kJ} \]

この反応で、気体の物質量が 2 mol だけ減少するため、その体積は \( 22.4\times\frac{298}{273}\times2\mathrm{dm}^3 \)だけ減少する。従って、このとき外界が系になさる仕事は次のように計算できる。

\[ W=P\Delta V=1.013\mathrm{Pa}\times10^5m^3\times\frac{298}{273}\times2=4.95\mathrm{kJ} \]

定積反応では外界に対して仕事をしないため、反応熱から外界への仕事を引くと、定積反応の反応熱になる。つまり、定積反応の反応熱は 92.38 - 4.95 = 87.43 kJ となる。この定積反応の反応熱は、原系と生成系の内部エネルギーの差となる。

\[ Q_V=U_\mathrm{after}-U_\mathrm{before}=\Delta U \]

定圧反応では、仕事によるエネルギーを考慮する必要がある。

\[ Q_P=H_\mathrm{after}-H_\mathrm{before}=\Delta H \]

気体の物質量の変化を Δng とする。気体の状態方程式 PV = ΔngRT により、

\[ \Delta H=\Delta U+P\Delta V=\Delta U+\Delta n_g\mathrm{RT} \]

よって、アンモニア生成反応の熱力学方程式は次のように書き換えることができる。

\[ \Delta U=\Delta H-\Delta n_g\mathrm{RT}=(-92.38)-(-2\mathrm{RT})=(-92.23+4.95)\mathrm{kJ} \]